研究課題
本研究の目的は、社会基盤構造物ストックを知的情報処理技術の利用によって戦略的にマネジメントし、世界的に形成しつつあるマーケットのリーダシップを発揮しようとするものである。最終年となる本年度は、平成16〜19年度の4年間の研究成果をもとに、現在までに実用化を目指して開発してきた各種要素システム(橋梁、下水管網、道路舗装、補修材選定など5種類)の模型および実構造物規模での検証と改良およびこれらの統合化を進めた。また、各国の共同研究者らとともにトライアルを繰り返し、プロトタイプの改良を重ねてシステムの検証を行い、より実用的なシステムにした。特に、VTT(Finland)およびミシガン大(USA)とは、センサーネットを利用した橋梁の遠隔モニタリングシステムの実用化を検討した。広域下水管網(地下埋設構造物)の維持管理支援システムに関しては、宇部市内の下水管網を対象として、VTT(Finland)と共同で検証して本システムの適用範囲を拡大した。道路舗装を含む道路施設維持管理支援システムに関しては、山口県内の道路網を対象としてUCL(UK)、 EPFL(スイス)と共同して実用化を試みた。また、床版防水システムを含む補修材料選定システムに関しては、道路舗装を対象としてUCL(イギリス)、BAM(ドイツ)などと共同して検証を繰り返した。このような各種システムに関する実用化検討と得られた成果の議論、公表のために山口大学が中心となって、当地において最終研究成果到達状況の把握を兼ねた合計6回の国際ワークショップ(1回)、シンポジウム(3回)、セミナー(2回)を開催した。このように、最終年度の研究では、研究分担者、海外共同研究者間の連携の基に、システムの実用化、市場ニーズ調査、事業化調査、国際連携を含めて数多くのプロジェクトに発展していく基盤を形成し、世界に向けた戦略的ストックマネジメントを先導する成果をあげたと考える。
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