研究課題/領域番号 |
16106009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 豊信 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00111477)
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研究分担者 |
幾原 雄一 東京大学, 大学院・工学系研究科総合研究機構, 教授 (70192474)
近藤 高志 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (60205557)
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キーワード | 立方晶窒化ホウ素 / 乱層構造sp2結合窒化ホウ素 / ドーピング / ワイドバンドギャップ / 電気伝導度 / ナノインデンテーション |
研究概要 |
平成17年度においては、1)薄膜堆積時のバイアス印可及びガス供給系の自動制御化、2)cBN薄膜電子デバイス化の必須要素技術であるドーピングプロセスの開発、及び3)バッファー層としての配向性tBN薄膜のナノ機械特性を評価した。これらの研究により得られた知見は以下のようにまとめられる。 【バイアス印可及びガス供給系の自動制御化】 イオンエネルギー及びガス分圧を0.1秒単位で時間制御するため、バイアス印加及びガス流量をPCで自動制御化し、堆積条件の再現性を飛躍的に向上させるとともに、Siのみならずサファイヤ等の絶縁体各種基板上へのcBN堆積を可能とした。 【その場スパッタドーピング法による添加元素のコントロール】 BN薄膜においては未だ報告の無い電子物性の制御を目指し、スパッタドーピング法と呼ぶ新規のin-situドーピング手法を開発した。本手法において添加元素のバルク体に印加する負バイアスと基板に対する空間的位置の制御により、BN薄膜中の不純物濃度を0から数%程度まで制御可能であること、及び膜厚方向に急峻な濃度プロファイルの形成が可能であることをSIMS測定により確認した。更に、cBNの核生成後にSiやZn添加を開始することで、sp3結合を保ったまま最大で数%といった高濃度の不純物添加が可能であることを実証するとともに、特にZnドープにより室温における電気伝導性を6桁程度向上させ得ることを確認した。 【結晶軸方向の制御されたtBNの形成とナノ機械特性の評価】 時間制御バイアスCVD法により高配向性tBNナノアレイ薄膜を形成し、ナノインデンテーションにより機械物性を評価した。本薄膜は本質的にイオン結合性のセラミック体であるにもかかわらずポリマーに類似する粘弾性的挙動を示し、最大可逆変形量は膜厚の20%にも及ぶことやこの変形が数十秒の時間をかけて元の状態に回復することなどを見いだし、tBN薄膜電子物性を機械的に制御し得る可能性を示した。
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