研究概要 |
本年度得られた知見は以下のようにまとめられる。 1)hBN初期層制御:ICP-CVDではIRの⊥吸収ピーク及びX線回折のhBN(002)ピークの半値幅に相関が見られ,B/(B+N)比の増大に伴い誘電率は増加する傾向が認められた。また,c軸配向も圧力・組成によりある程度制御可能でc軸が基板に対して平行に配向する条件で誘電率が増加することを確認した。他方,スパッタ堆積では初期過程の最適化によって,初期層10nm以下という飛躍的な薄化に成功した。 2)ド-ピング効果:ZnドープではcBN核生成が阻害される条件が存在したが,Mgでは1.0at%程度以下でドープする場合いかなるタイミングでドープを開始してもcBNの生成が阻害される事は認められなかったことから,ドーピングの観点からはZnに比べMgの優位性を確認した。他方,伝導度に関しては,無ドープでは10^8Ωcm程度あった比抵抗でが,2.1at%Mgドープにより5×10^3Ωcmまで低下するとともに,活性化エネルギーの値はZnドープの値より低下した。更に,化学両論組成との関連から過剰なNによりMgのドープ効果が消失するため,MgはNサイトに置換することにより伝導に寄与することが推定された。 3)相同定開連:斜入射X線回折法において,測定パラメータの詳細な検討の結果,明確なcBNビークを検出することに成功し,XPSスペクトルからの結晶相同定に加え,HeavydopedSiや石英等のIR不透過基本板においても多面的でより確かな相同定を可能とした。 4)デバイス構造作製:以上の結果を踏まえheavy doped Si/hBN/cBnのMIS構造を作製した。I-V測定においては±1Vにおいて3桁の整流比を示したが,C-V測定においてはMISキャパシタとしての振る舞いは観察されなかったあ。本整流特性はHeavydopedSi/p-BNにおけるショットキー障壁に由来すると推定された。
|