研究課題/領域番号 |
16107001
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
高畑 尚之 総合研究大学院大学, 学内共同利用施設等, 学長 (30124217)
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研究分担者 |
颯田 葉子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (20222010)
大田 竜也 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (30322100)
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キーワード | ヒト特異的発現抑制遺伝子 / 皮膚発現遺伝子 / 偽遺伝子 / 霊長類 / 極限環境 / 自然選択の緩和 / 近縁種 / 家禽化 |
研究概要 |
本研究は、生物とそれを取り巻く環境との関係性をゲノムレベルで明らかにすることを目的とし、4つの研究課題((1)ヒトの個別性に関係した遺伝子の探索、(2)ヒトや霊長類において環境や生殖に密接に関わる遺伝子の研究、(3)家禽化と遺伝的多様性の関連の探索、(4)極限環境への適応)を設定している。(1)については、ヒトとチンパンジーの皮膚で発現する遺伝子の発現量をマイクロアレイで比較を続けた。その結果、ヒトとチンパンジーで発現量に100倍以上の差がある遺伝子およそ200を同定した。ヒトで発現量が低い遺伝子群のおよそ4割がケラチン(KRT)及びケラチン関連タンパク質(KRTAP)であった。今後は、KRTとKRTAPの発現に影響を与えている遺伝的な変化を同定する方向で、研究を進めたい。また、ヒト特異的な11の偽遺伝子の解析を行い、そのうち約半数にあたる6遺伝子が、ヒト以外の霊長類でも独立に偽遺伝子化していることを明らかにした。このことは、偽遺伝子化を引き起こす機能的な冗長性がゲノム内の遺伝子重複だけでなく、環境変異の様な外的要因により引き起こされる可能性を示している。(2)に関しては、MHC遺伝子と嗅覚受容体及び苦味受容体遺伝子の偽遺伝子化の時期を推定、比較の結果がImmunogeentics誌に掲載された。(3)の課題に関しては核遺伝子のイントロンについてのデータの集団遺伝学的解析を進めた。結果は、現在投稿準備中である。(4)の課題に関しては、ノトセニア亜目魚類のミトコンドリア遺伝子の解析から南極海域の寒冷適応以前にミトコンドリアの遺伝子へかかる自然選択が緩和していたことが示唆された。
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