研究課題/領域番号 |
16107002
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
和田 正三 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60011681)
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研究分担者 |
鐘ヶ江 健 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (70264588)
菊池 一浩 自然科学研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50332177)
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キーワード | 葉緑体光定位運動 / 葉緑体 / シロイヌナズナ / シダ / フォトトロピン / 青色光 / 赤色光 / アクチン繊維 |
研究概要 |
(1)chup1タンパク質の細胞内局在 chup1タンパク質はそのN末端側に疎水性のアミノ酸が多い部分があり、葉緑体膜に存在することがGFPの傾向から示唆されていたが、確証がないため、葉緑体を単離し、その外包膜の生化学的な解析を行った。シロイヌナズナの野生型およびchup1突然変異体から葉緑体を単離し、外包膜から得られたタンパク質をchup1の抗体により検出した結果、野生型に見られるバンドはchup1突然変異体から得られたサンプルにはchup1のバンドは見られなかった。また野生型の葉緑体を性質の異なる数種の蛋白分解酵素で処理した後の抗体によるchup1の検出結果から、chup1タンパク質は外包膜上に存在していることが明らかになった。 (2)移動に働くアクチン繊維の消長 葉緑体の移動にはアクチン繊維が関与することが示唆されて来たが、確たる証拠はなかった。また既存のアクチン繊維を使用しているのか、あるいは葉緑体の移動にともない重合されるのか否かも、分かっていなかった。そこで、まず葉緑体が、細胞内のあらゆる方向に移動できること、同じ場所で往復運動が出来ることを証明した。このことは、「既存のアクチン」説で説明するのは難しい。光照射後にアクチンが重合されるならば、光照射部位での重合か、葉緑体上での重合かの問題となる。そこでGFPtalinを導入した形質転換体でアクチン繊維の分布を詳細に調べた結果、短く細いアクチン繊維が葉緑体の移動方向の先端部で、短時間内に重合脱重合を繰り返していることを発見した。このアクチン繊維は葉緑体運動が起こらないchup1突然変異体の葉緑体上には存在しないことを発見した。一方chup1突然変異体の葉緑体にはその構造は見られなかった。これらの実験結果から、chup1タンパク質がアクチン繊維の重合脱重合を介して、葉緑体の移動に関与していることが強く示唆された。
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