研究課題
核-細胞質間蛋白質輸送機構に関する研究は、importin βファミリー分子、importin αファミリー分子、低分子量GTPase Ranやヌクレオポリンなどの性状解析が精力的に進められ、輸送機構に関する基本的な分子メカニズムが解明された。しかし、核-細胞質問蛋白質輸送が、個体発生、細胞分化・増殖、細胞周期といった様々な生命現象とどのように関連しているのかという点についてはほとんど研究が進んでいない。一方、われわれは、これまでの研究から、importin αが単独で核内に移行する能力を有することを初めて発見するとともに、細胞が紫外線照射や熱ショック、酸化ストレスなどの様々なストレスを受けた時に、そのストレスに応答して速やかに核内に集積するという現象を見出してきた。本研究は、ストレスに応答して核内に集積したimportin αが、核内でどのような機能を発揮し、ストレスに対応するのかを知る目的で研究を進めた。本年度は、importin α核内集積条件下でDNAマイクロアレイ解析を行ない、発現が有意に減少する遺伝子に着目して研究を進めた。発現が減少する遺伝子は約60種類存在していたが、その中に、ATF3, Gadd45α, HRKなど、アポトーシスを誘導することが知られている遺伝子が複数含まれていることがわかった。これらの遺伝子発現はRT-PCRを用いた解析から、importin αによって制御を受けることが示され、importin αは、ストレスに応答して核に蓄積し、アポトーシスを回避するための転写制御に関与しているのではないかということが示唆された。また、importin αがDNAに直接結合することを見出していたが、p53と結合することにより、p53の機能を制御している可能性を検討し、レポーターアッセイを行った結果、p53による転写を負に制御していることが示唆された。
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