研究課題
宿主への適応戦略と多様化機構の解明平成16年度に、Phytoplasma asteris OY strainの全ゲノム解読に世界で初めて成功したが(Oshima et al.,Nature Genet.,2004)、今年度は主にファイトプラズマの膜タンパク質について解析を行った。ファイトプラズマは細胞壁を持たず、宿主細胞内に寄生することから、その膜タンパク質は宿主との相互作用に重要な役割を果たすと考えられる。OYに近縁な4種類のファイトプラズマより、菌体表面に多量に存在すると推定されるantigenic membrane protein (Amp)遺伝子全長をクローニングし、それらの塩基配列を決定・比較したところ、Amp遺伝子にはファイトプラズマ間でかなり(相同性89-98%)の変異が認められた。Amp遺伝子の塩基配列の相同性は、Amp遺伝子の上流や下流の遺伝子、さらにはORF間のintergenic regionの相同性よりもはるかに低かった。また、Amp遺伝子に認められた変異の大部分はアミノ酸置換を伴う変異あり、Ampは多様性が増大する方向に何らかの選択圧がかかっていると推定された。昆虫宿主とファイトプラズマ膜タンパク質との相互作用解析OY保毒ヒメフタテンヨコバイを、抗Amp抗体を用いて共焦点レーザー顕微鏡により観察したところ、Ampは腸管周囲のマイクロフィラメントとの所在が一致した。次に抗Amp抗体の親和性カラムを用いて、Ampと複合体を形成する宿主因子を単離した結果、3種類の主要タンパク質(P30、P42、P200)が検出された。ペプチドシークエンス等により分析したところ、P30はミオシン軽鎖、P42はアクチン、P200はミオシン重鎖と同定された。これらはいずれもマイクロフィラメントを構成するタンパク質であり、ファイトプラズマはAmpを介して媒介昆虫のマイクロフィラメントに結合することが示唆された。
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