研究課題
気候変動に伴う多獲性魚類の生態の変化、もしくは漁場変動について研究を行い、以下の成果を得た。1) 岸は、シロサケとカラフトマスが海洋環境の長期変動に対して、水温と餌のどちらがその成長に影響を及ぼすかについて、モデルを用いて検討し、シロサケはアラスカ湾の餌濃度の変化に応じてそめ体重を変化しているが、カラフトマスは水温による成長への影響が大きいことが分かった。2) 桜井はスルメイカ, スケトウダラ, マダラの温暖化に伴う2100年までの産卵場, 分布海域の変遷予測を行い、新再生産仮説を設定し, 短・長中期の資源変動予測を可能にした。3) 青木はマイワシとカタクチイワシについて、仔魚の成長速度が年によって異なる機構を明らかにし、その生残メカニズムとしての重要性を実証した。4) 木村はニホンウナギの産卵海域における海水懸濁物質の特性およびクロマグロの体温調節機構を明らかにし、地球環境の温暖化に伴うそれらの回遊メカニズムの変動に関して研究を進めた。5) 松田は、生態系アプローチに順応的管理を適用する場合、順応的管理に基づく持続可能な漁業が漁獲対象種と相互作用するほかの種の保全をなんら保障しないことを理論的に導いた。6) 齊藤はサンマなど多獲性漁類の漁場形成予測モデルへ、一般化加法モデル(GAM)を応用し、漁場分布の季節変動要素を加味した漁場推定モデルを開発した。7) 山口は光学式プランクトンカウンターを用いて、1993年〜2004年の春および夏季の西部北太平洋における動物プランクトン群集のサイズ分声に経年変動があったことを明らかにした。8) 小松はEEZ内の沿岸域で最も重要な藻場と干潟の空間分布構造をGISにより解析し、干潟と藻場という環境単位が協同し、より生産の高い生態系となっていることを解明した。
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