研究課題
(1)リコンビナントレプチン投与の長期安全性と有用性に関してヒト全身性脂肪萎縮症を対象疾患として長期間にわたる検討を行い、一連の基礎的検討(レプチン抵抗性の臨床指標の開発、投与モードの最適化(投与経路、投与回数、用量設定、投与期間の決定)、低用量レプチンの投与による用量-効果分析など)を実施した。レプチン補償治療を施行した全身性脂肪萎縮症患者を対象とした食欲、体重および体組成変化に及ぼすレプチンの影響関する検討を行った結果、レプチン治療による体重減少は主に除脂肪重量の減少であり脂肪重量変化は軽度であった。除脂肪重量および脂肪重量の変化量は治療前の除脂肪重量および脂肪重量とそれぞれ相関が認められた。レプチン治療によりインスリン感受性の改善および空腹時インスリン値の低下、除脂肪重量を主とした体重減少が認められ、高インスリン血症と骨格筋肥大との関連が示唆された。(2)レプチン抵抗性の分子メカニズムを探索し、骨格筋糖脂質代謝調節における中枢メラノコルチン系の意義を明らかにする目的で骨格筋AMPキナーゼ活性化が持続的に上昇しているレプチン高感受性遺伝子操作マウスに対するメラノコルチン受容体アンタゴニスト(SHU9119)あるいはメラノコルチンアゴニスト(MT-II)の脳室内投与を行い、骨格筋AMPキナーゼ活性化を解析した。更に、内因性メラノコルチン拮抗物質、agouti蛋白を視床下部で異所性に高発現する遺伝性肥満KKAyマウスを用いて同様の検討を実施した。MT-IIの脳室内投与は骨格筋AMPKおよびACCのリン酸化を顕著に亢進させた。レプチンによる骨格筋AMPKおよびACCのリン酸化の増加はSHU9119の脳室内共投与あるいはKKAyマウスにおいて明らかに減弱していた。骨格筋AMPKの活性化の減弱がレプチン抵抗性の程度とよく相関すること、メラノコルチンアゴニストが先天的、後天的に誘導されたレプチン抵抗性の状態に効果を発揮することが明らかとなった。
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