研究課題
1.GABA_A受容体の機能や発現におけるPRIPの役割に関する研究(1)野生型(WT)ならびにPRIPノックアウト(KO)マウス脳から初代神経培養細胞を調製し、インスリンシグナルの素過程、すなわちインスリン受容体やAktの発現量、Aktの活性化を検討したが、明らかな相違は認められなかった。しかしGAGA_A受容体のβサブユニットのリン酸化レベルはKOマウスで著しく低下していた。(2)免疫沈降実験により、PRIP存在下で、GABA_A受容体βサブユニットに結合するAkt量の増加が認められた。この結果から、PRIPは、Akt-GABA_A受容体との三者複合体形成を促進・安定化させて受容体のリン酸化を調節し、膜発現調節に関わっている事が示めされた。(3)野生型神経細胞では、ブレフェルディンAの前処理により膜輸送を阻害した状態でインスリン刺激を行うとGABA電流の減弱化(GABA受容体の減少)が見られるが、KOマウスでは変化は見られなかった。この結果から、インスリン刺激はGABA_A受容体の減少にも関わることが分かったとともにPRIPの関与も示唆された。2.咬合とPRIP分子、GABA_A受容体の機能への関わりに関する研究(1)粉末食餌(咬合不全)と通常の食餌を与えたマウスを飼育し、いくつかの行動異常に気づいた。GABA_A受容体の機能異常が疑われたが、リガンドの結合実験で検討した受容体量には著明な相違は認められなかった。一方、粉末食餌群ではGABA_A受容体のβ1及びβ3サブユニットの発現量に有意な増加を認めた。(2)しかし、KOマウスでは受容体サブユニットの発現量に食餌の種類による相違を認めなかった。(3)食餌の違いによるPRIPの発現量に差を認めなかった。(4)よって、咬合不全がGAPA_A受容体機能の変化を介して高次脳機能に影響することとPRIPの関わりが示唆された。
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Cell. Signal. (印刷中)
Biochem. Biophys. Res. Commun 377
ページ: 1185-1190
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http://www.dent.kyushu-u.ac.jp/sosiki/a04/index.html