研究課題/領域番号 |
16200025
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 武嗣 京都大学, 医学研究科, 教授 (90177519)
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研究分担者 |
玉巻 伸章 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20155253)
藤山 文乃 京都大学, 医学研究科, 助手 (20244022)
古田 貴寛 京都大学, 医学研究科, 助手 (60314184)
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キーワード | 中枢神経系 / 局所神経回路 / 投射ニューロン / インターニューロン / トランスジェニックマウス / ウィルスベクター / ゴルジ染色様標識 / 細胞内染色 |
研究概要 |
中枢神経系をニューロンレベルからボトムアップに理解しようとするときに、決定的にかけている情報は「局所神経回路」の詳細である。局所回路網を解析する戦略として、細胞内染色法と遺伝子技術等を組み合せた「from one to many」の研究戦略により、以下の成果を得た。 1.大脳皮質運動・体性感覚野の皮質脊髄路ニユーロンに、大脳皮質錐体細胞がどの様に入力するか検討した。皮質脊髄路ニューロンには全ての皮質層の錐体細胞からの入力が収束して入力していたが、大脳皮質IV層の星状錐体細胞からの入力が他の入力の2〜3倍認められた。IV層星状錐体細胞は入力に対して一過性の応答を示す特徴があることから、小脳からの入力成分の内、タイミング情報を皮質脊髄路ニューロンに受け渡していると考えられた。 2.Vesicular glutamate transporter(VGluT)を認識する抗体を作成し、中枢神経系の局所神経回路の解析に応用した。VGluT1は主として大脳皮質の出力ニューロンが使用しており、VGluT2は視床のニューロンが用いているために、線条体・大脳皮質などの領域で、大脳皮質由来および視床由来の興奮性神経終末を区別して標識出来るようになった。これらの抗体を用いたpost-embedding免疫電顕法により、線条体の大脳皮質由来及び視床由来の興奮性神経終末にはAMPA受容体が発現していることを発見した。この結果はこれらの興奮性終末にポジティブフィードバック機構が存在し、線条体ニューロンのup stateを作り出すメカニズムとしてシナプス前性AMPA受容体が使われているのではないかと推測された。 3.VGluT3産生皮質ニューロンは、GABA作動性インターニューロンであり、特にneurokinin Bを産生することを発見した。さらに、このニューロンの出力先は、neurokinin Bを産生する同種のニューロンであり、相手ニューロンの細胞体周囲にaxon basketを形成していた。この結果はneurokinin B産生インターニューロン群内部に閉じた神経回路が存在する可能性を示唆している。 4.局所神経回路網を研究するツールとして、Lentivirus vector、遺伝子改変マウスなどを作成中である。
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