研究課題/領域番号 |
16200027
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90280734)
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研究分担者 |
田畑 秀典 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80301761)
佐々木 慎二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10365439)
本田 岳夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30365225)
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キーワード | 大脳皮質 / 多極性移動 / 神経細胞移動 / 脳室下帯 / 中間帯 / 電気穿孔法 |
研究概要 |
発生中の大脳皮質において、脳室帯で誕生した神経細胞は、その多くが移動開始後に多極性移動細胞に変化すること、そして、それら多極性細胞は、中間帯で再度ロコモーション細胞に変化してから皮質板に入ることを、スライス培養下のみならずin vivoにおいても見いだした。そこで、さらに詳細に移動中の細胞の全体的な形態を観察したところ、多極性細胞から形態を変化させロコモーション様式で移動を再開した神経細胞は、一定方向にその軸索様神経突起をすでに伸ばし始めていることを見いだした。このことは、多極性細胞が、脳室下帯(中間帯)において何らかの周囲のシグナルを受容し、それによって軸索伸展の方向性および細胞移動の方向性などが制御されている可能性を示唆している。そこで、これらの細胞に発現し分泌シグナルを有する蛋白質(膜貫通蛋白質または分泌蛋白質)の検索を進めた結果、脳室下帯の多極性細胞に特異的に発現する新たな受容体分子を同定することができた。興味深いことに、その細胞外リガンドは、隣接する中間帯を走行する皮質求心性線維上に局在が認められた。この結果は、両者が実際にin vivoで相互作用して多極性細胞の挙動を制御している可能性を示唆している。現在、強制発現ベクター、dominant negative体の発現ベクター、RNA干渉によるknock-downベクターを子宮内胎児の大脳皮質脳室帯に電気穿孔法により強制発現させて、その影響を調べている。一部については、細胞移動への影響を含む明らかな変化を見いだしたため、さらに定量的な解析を行うとともに、ノックアウトマウスの作成に着手した。
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