研究課題/領域番号 |
16200028
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
池中 一裕 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (00144527)
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研究分担者 |
小野 勝彦 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教授 (30152523)
等 誠司 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教授 (70300895)
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キーワード | Cre loxP / タモキシフェン / 脊髄 / 前脳 / オリゴデンドロサイト / アストロサイト / Olig2 / 細胞分化 |
研究概要 |
Olig2は脊髄動物の中枢神経系で発現するbHLH型転写因子である。その初期の発現領域が、特定の細胞サブセット(脊髄では運動ニューロンとオリゴデンドロサイト、前脳ではGABAニューロン)の起源と一致することが示唆されてきた。しかし、Olig2を発現する細胞がどのような細胞に分化するかは、未だ明らかではない。本研究では、inducible Cre-loxPシステムを用いて、マウス胎仔の発生段階をおってOlig2発現細胞の分化様式を明らかにした。 脊髄においては、胎齢9.5日目(E9.5)にOlig2を発現する細胞は、腹側部のpMNドメインに限局しており、これらの細胞はE18.5までに運動ニューロン(MN)、アストロサイト(As)、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OLP)に分化する。一方、これより遅い時期(E12.5、E14.5)にOlig2発現する細胞には、MNへ分化した細胞はみられなかった。前脳では、E9.5では主に間脳でOlig2の発現が見られることと一致して、視床や視床下部でOlig2系譜細胞がニューロン(N)、As、オリゴデンドロサイト(OL)に分化していたが、終脳にはE9.5由来のOlig2細胞は見られなかった。E12.5になると、線条体原基でOlig2の発現が強くなり、この時期にOlig2を発現する細胞は、成体脳では大脳皮質を含む終脳の広い領域に分布していた。そして、N、As、OLすべてのタイプに分化しているが、この時期ではNに分化する頻度が高い。大脳皮質では、その形態からinterneuronに分化していると考えられるが、詳細は今後の解析が必要である。 このように、Olig2系譜細胞は当初考えられていたより多種多様な細胞に分化することが明らかにされた。領域間でのOlig2系譜細胞の分化挙動や、詳細な細胞サブセットについて今後さらに詳細な解析を進めていく。
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