研究概要 |
骨組織は,血管,神経,骨髄,骨などのヘテロな集団が混在した複雑な組織である。そのため,本研究課題である骨組織エレメントによる骨再生を行うにためには,検討しなければならない要素技術が多数ある。そこで,本年度は,骨組織に比べて構成が単純な軟骨組織をモデルとして,微小エレメントによる組織再生技術の構築における基盤技術の確立を目指した検討を行った。 ウシ正常膝関節軟骨から硝子軟骨組織を採取後,0.2%コラゲナーゼ溶液を用いて軟骨細胞を抽出し,10%のウシ胎児血清を含むF12培地を用いて初代培養を行った.その後,継代培養を繰り返した後,分化培地中に2.0×10^7/5mlの濃度に細胞懸濁液を調整した.その後,70rpmの旋回流れ下で細胞を培養することによって,軟骨細胞から構成される微小軟骨エレメントの作製を検討した. 旋回流れにより細胞に適度な応力を負荷し、細胞どうしの自発的な接着能力を引き出しながら培養する手法を用いることにより,直径数百μmの軟骨細胞の凝集塊を一度に大量に形成させることが可能か否か検討した.その結果,培養開始後24時間以内に,直径数百μmの軟骨細胞の凝集塊を一度に大量に形成させることができた.さらに,上記の方法で作製した軟骨細胞による微小エレメントを鋳型に高密度の条件で播種・培養することによって,直径1cm程度の三次元軟骨組織を形成することに成功した. 本年度の実験から,旋回培養によって作製した組織エレメントは形成後数日以内であればエレメント同士の接着が可能であった。
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