研究概要 |
骨再生において重要とされる骨伝導および血管新生を誘導する再生骨モデルの可能性を検討する目的で,未分化な細胞を用いた細胞凝集体,血管新生を促進する成長因子,足場という要素を組み合わせたモデルを検証した.そこで,骨髄由来細胞を,骨分化培地で培養した後,旋回流れ場の環境下で骨組織エレメントを構築させる実験を進めた結果,直径200-300μm程の細胞凝集体を作製することが可能であることが示された.一方,多孔質のリン酸三カルシウム(TCP)ビーズを準備し,作製した細胞凝集体と混合させた状態で,ヌードマウスヘ皮下移植を行った.この際,2つのエレメントを保持するためには生体親和性のゲルを用いる必要がある.そこで,この生体親和性のゲルとしてコラーゲングルと多血小板血漿(PRP)ゲルを選択し,細胞凝集体とTCPビーズをそれぞれコラーゲングルまたはPRPに内包した状態で移植実験を行った結果,PRPゲルを用いた場合には,細胞凝集体,TCPビーズ,PRP複合体の内部により多くの血管が侵入していることが確認された.このことからPRPゲルは各エレメントを保持するだけでなく骨形成における血管新生という点でも有用な因子であることが示唆された.一方,コラーゲングルを用いたモデルのうち,ゲルのみを移植したものに関しては内部に全く血管形成がみられなかったが,TCPビーズと組み合わせたものに関しては,少量の血管形成が確認された.
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