研究課題/領域番号 |
16200036
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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研究分担者 |
菊地 明彦 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40266820)
大和 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40267117)
清水 達也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40318100)
串田 愛 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10338981)
中山 正道 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00338980)
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キーワード | 温度応答性培養皿 / インスリン / フィブロネクチン / RGD / シナジー配列 |
研究概要 |
本研究は、すでに皮膚や角膜の再生医療においてヒト臨床に成功している温度応答性培養皿を活用する細胞シート工学的手法をさらに発展させることを目的として、種々の生理活性因子を温度応答性表面に固定化し、精緻に細胞機能制御をおこなう分子設計の確立を目指している。これにより通常、培地に添加しているウシ胎児血清(狂牛病等の異種感染を完全には否定できない)や患者自己血清(患者毎に生理活性が異なりうる)の除去や、臨床上より有効な細胞シートをより短時間に作製することが可能になると期待される。本年度は、温度応答性培養皿の高機能化のための生理活性因子固定化技術を検討すると共に、細胞外マトリックスの分子構造を反映した接着シグナル固定化温度応答性培養皿の開発をおこなった。生理活性因子としてはインスリンと細胞接着配列として知られているRGDペプチドを用い、カルボキシル基を導入した温度応答性培養皿に共有結合的に固定化した。インスリンは固定化量依存的に細胞増殖を促進し、RGDペプチドは細胞接着性を向上させた。いずれの表面も、温度を温度応答性高分子の下限臨界溶液温度以下に下げると、細胞が脱着した。細胞外マトリックスの分子構造を反映した接着シグナルとしてはフィブロネクチンのRGDとシナジー配列として知られるPHSRNをグリシンのスペーサーを介する形で合成し、これを先と同様の方法で固定化した。スペーサーを介する両配列間の距離をフィブロネクチン分子中のそれに近く調節することで、より大きな細胞接着性の増強が観察された。いずれの配列においても、温度を温度応答性高分子の下限臨界溶液温度以下に下げると、細胞が脱着した。現在、脱着後の細胞接着配列ペプチドの挙動の解析が進行中である。
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