研究課題
基盤研究(A)
今年度は、十勝川、河口、大陸棚斜面にかけての沿岸、北西太平洋親潮海域で集中的に観測を行った。観測は、北海道大学水産学部おしょろ丸、うしお丸、および漁船を用いた。沿岸観測線を設け、海水および堆積物の採取と分析を行った。十勝沖では沿岸と、外洋域2カ所でのセディメントトラップ繋留による沈降粒子の捕捉実験を実施した。十勝川からの陸生有機物の分布を評価するために、十勝沿岸の大陸棚斜面上の表層堆積物を用いて有機炭素、窒素、CN同位体の分析を行った。その結果、有機炭素の堆積フラックスは大陸棚1000m深付近で最も高く1.4%程度の濃度があった。C/N比は十勝川河口付近でもっとも高く、陸起原有機物の堆積率を示唆していることが、炭素同位体分析の結果からも裏付けられた。一方、沿岸海水の懸濁粒子のCN同位体組成の季節変化を計測しつつ、セディメントトラップ捕集粒子の分析をおこない、海洋生物の有機態組成の季節変化を調べた。その結果、十勝川河口に近い水深20m程度までの沿岸水中では表層の0〜5mまでの懸濁粒子は、陸上高等植物起原の有機物が有意に占めていた。それより下層では植物プランクトン起原の有機物が優勢であった。十勝沖の大型セディメントトラップは水深1500mに繋留し、主として親潮水の影響下にある海水からの有機物フラックスを、栄養塩負荷量の変化について通年調査を行いつつある。十勝川から流出する河川水に含まれる有機粒子、窒素化合物、栄養塩の通年変化を把握するために、ほぼ毎月、河口近くの狭量からのサンプリングを行った。河川水の硝酸濃度は80〜100μMと高く、N/P比も72〜115と高いことを確かめた。
すべて その他
すべて 雑誌論文 (2件)
Chemical Geology (印刷中)