研究分担者 |
長尾 誠也 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教授 (20343014)
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助手 (70332476)
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 教授 (00152752)
成田 尚史 東海大学, 海洋学部, 助教授 (50250501)
村山 雅史 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 助教授 (50261350)
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研究概要 |
十勝川水系で行った調査研究の結果を解析するとともに、新たに東海地方の河川沿岸水系での研究を展開した。 望星丸によって,駿河湾,伊勢湾および遠州灘から黒潮域にかけて化学海洋学的測定(T, S, Ch1-a, Nutrients, Ba)を実施した。沿岸から流出する物質の輸送先にあたる黒潮との関係を明らかにするため,Ra-228をトレーサーとして渦拡散による沿岸系冷水の混合速度を求めた。また静岡平野の安倍川及び巴川とその河口域の観測結果と浜松の汽水湖である佐鳴湖とその周辺河川において、河川および地下水の硝酸汚染が沿岸海洋環境に及ぼす影響を定量的に理解するために,水温,塩分,pH,栄養塩(溶存無機態,溶存有機態,粒子態),主要イオン成分の化学成分の分析を行った。この沿岸域への硝酸の過剰供給は、外洋域へのケイ酸の供給量を減少させると推測された。 一方、十勝川による栄養塩負荷は、2005年6月から9月の増水期でDIN、DIPの供給フラックスはそれぞれ1.3 mol/m2/yr、0.009 mol/m2/yrとなった。これらが沿岸海域で全て消費しつくされると、レッドフィールド比より炭素換算で8.4 mol C/m2/yr程度を固定することとなる。これは、親潮海域での年間基礎生産(12.2 mol C/m2/yr)の7割に相当し、少なからぬ寄与と見積もられた。十勝川から沿岸海域に輸送されたDIN、DIP、Siの年間輸送量はそれぞれ、690、4.0、2740 x 10^6 molと見積もられた。 海洋へ輸送された栄養塩の元素比は、N/P比=176.6、Si/N比=4.0、Si/P比=700となり、十勝沿岸では珪藻類の増殖に有利であると示唆された。 台風などに伴う大雨イベントでは、特に窒素の輸送に大きな影響を与えていた。わずか1週間で年間輸送量の約8%にあたるDINが輸送されることがわかった。
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