研究課題
静岡県下新川(西川)及び段子川など汚染状況の激しい河川で採取した懸濁物や堆積物の同位体分析を行い、農業活動などの人類活動と、窒素汚染、^15N濃度との関係を研究し、窒素収支の過剰な人類活動は脱窒過程などを引き起こし、窒素同位体組成や有機炭素濃度などの組成に反映する傾向を見いだした。一方、四国沿岸の四万十川と仁淀川において昨年度採取した試料についても有機物と同位体分析を行い、森林地域から流出する河川水の化学成分の特徴を明らかにした。また、放出先である土佐湾沿岸について海洋観測では、粒状物質や堆積物への陸起原有機物の影響は非常に小さいことを示す結果を得た。自然状態に近い海域での陸起原物質の海洋へのインパクトは、農業汚染や都市汚染の進んでいる十勝や、静岡県の河川では大きいが、四国の河川では小さいことが裏付けられた。懸濁物濃度や栄養塩の影響を見るために、海水の酸素同位体、水素同位体による沿岸水の水塊分析を行った結果、黒潮、モード水の北側には沿岸の淡水の影響下にある海水が恒常的に有意に存在することことを観測した。自然条件下でも河川水での沈降粒子は相当に高いことがわかった。それらの特徴はある程度懸濁物や堆積物の窒素、炭素同位体組成に反映されていることを見いだした。三陸沖から紀伊半島にかけての沿岸域の海洋調査により沿岸水の外洋への混合の程度を全炭酸の^13C、海水の^18O、D/Hの分析によって行い、これらの同位体分析が海水への陸水の混入状況を評価する上で有効であることを確かめた。海洋堆積物の柱状試料中の^15N分析による過去の気候変動と海洋生物活動との間には良い相関があるものの、栄養塩だけでなく微量金属の供給なども重要な要因であることを明らかにした。
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