研究分担者 |
長尾 誠也 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (20343014)
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (70332476)
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 准教授 (00152752)
成田 尚史 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 准教授 (50250501)
村山 雅史 北海道大学 (50261350)
|
研究概要 |
北海道から中部、四国地域の代表的河川として、十勝川、安部川、仁淀川、四万十川など7河川の調査を行い、農業地帯、人工集中地域、未汚染地域での河川由来栄養塩の特徴と、それがもたらす沿岸生物生産への影響を研究し、以下の結果を得た。1)十勝川による栄養塩負荷は、2005年6月から9月の増水期でDIN、DIPの供給フラックスはそれぞれ1.3 mol/m2/ yr、0.009 mo1/m^2/yrとなった。これらが沿岸海域で全て消費しつくされるとすると、レッドフィールド比による炭素換算で8.4 molC/m^2/ yr程度を固定することとなる。これは、親潮海域での年間基礎生産(12.2 mol C/m2/yr)の7割に相当する大きな寄与と見積もられた。2)十勝川から沿岸海域に輸送されたDIN、DIP、Siの年間輸送量はそれぞれ、690、4.0、2740 × 10^6 mo1と見積もられた。その結果、海洋へ輸送された栄養塩の元素比は、N/P比=176.6、Si/N比=4.0、Si/P比=700 となり、この栄養塩組成は、十勝沿岸では珪藻類の増殖に有利であると示唆された。3)台風などに伴う大雨イベントでは、特に窒素の輸送に大きな影響を与え、わずか1週間で年間輸送量の約8%にあたるDINが輸送されることもあることがわかった。4)融雪期や季節変化が定常的な状況での河川からの流出栄養塩は、沿岸での生物生産の3-4割に相当する寄与をするが、陸起原有機物からなる粒子状の炭素は大雑把にその10分の1以下、粒状有機物のNは約半分の生産に相当すると推定した。5)静岡の一級河川では,硝酸濃度は,27〜98 μMと比較的低濃度だったのに対し, 二級河川では82〜504 μMと高濃度で変化も大きかった。リン酸塩濃度は0.21〜9.2μM、ケイ酸塩濃度は109〜413 μMの範囲であり,これら栄養塩濃度と組成の特徴には,流域面積の違いに加えて,そこでの土地利用の違いや都市化の差異が影響していることを見いだした。
|