研究課題/領域番号 |
16201003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
津田 敦 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80217314)
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研究分担者 |
植松 光夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (60203478)
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
武田 重信 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (20334328)
永尾 一平 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (00252297)
橋本 伸哉 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10228413)
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キーワード | 海洋生物生産 / 鉄 / 珪藻 / 気候効果気体 / 鉄散布実験 / 水塊追跡 / 硫化ジメチル / 二酸化炭素隔離 |
研究概要 |
H17年度は、H16年度に西部北太平洋で、米国、カナダと共同で行った鉄散布実験SEEDS IIで採取された試料の分析およびデータの取りまとめ作業を主に行った。4月に米国側から、M.Wells博士ら3人が来日し、船上培養実験の結果を中心に取りまとめるワークショップを開催した。9月にはSEEDSII航海の日本側関係者が会し、国内ワークショップを東京大学海洋研究所で行い、10月17-18には米国、カナダおよびニュージーランドから計6人が来日し計50人あまりで2日間にわたり、生物応答、鉄および微量金属の応答、散布水塊の海洋物理学的挙動、大気成分応答の4つのテーマに別れ議論ととりまとめが行われた。その結果、SEEDSIにおいては鉄散布によって非常に高濃度に植物プランクトンが増加したが、SEEDSIIは、同じ海域、時期に同じ量の鉄を散布したにもかかわらず、増加はクロロフィル濃度で2.5倍に留まった。SSEDSIでは小数種の珪藻が増加したが、SEEDSIIでは珪藻の目だった増加は見られず、ブルーム衰退期には、単細胞性藍藻、クリプト藻が増加した。これらの原因としては、動物プランクトンである大型カイアシ類はSEEDSIの表層混合層における生物量と比較すると初期値で15倍以上存在し、日数の経過とともに生物量を成長によって増したため、鉄添加によって増殖が活性化した藻類を食いつぶしたことが最も大きな原因と考えられる。さらに、表層混合層が30m程度と深かったことにより、光環境の悪化、鉄濃度の低下も影響したと考えられる。これら成果の発表は、H18年度中に特集号を編集することを目標としている。さらに、津田・武田は、11月に開催されたSOLAS主催の鉄散布実験取りまとめ会議に招かれ、過去の実験の責任者らとともに、過去の実験成果の比較、取りまとめを行っている。また、VERTIGOは米国の海洋における粒子の沈降と分解を扱う大型プロジェクトであるが、その航海に分担者が同乗し、動物プランクトンの摂餌・生産に関するデータ取得を米国研究者とともに行った。
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