研究課題/領域番号 |
16201010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安井 明 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60191110)
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研究分担者 |
高尾 雅 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (70216612)
中嶋 敏 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (00375114)
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キーワード | 活性酸素 / DNA損傷 / DNA修復 / 可視化解析 / 癌化 / 老化 / プロテオミクス / APエンドヌクレアーゼ |
研究概要 |
塩基の喪失はAPサイトと呼ばれる活性酸素で生じる最も頻繁なしかも修復されないと細胞死や突然変異を産み出す損傷である。ヒト細胞では、これまでAPサイトはAPE1という蛋白が唯一存在していると思われて来た。我々は昨年、データベースサーチで、リン酸化ペプチドに結合するFHAドメインを持つ新規の蛋旨白質を発見し、PALFと命名した。PALFにはサイトのみならず種々の活性酸素による損傷塩基の5'側にニックを入れる活性があり、さらに5'側に切って行くエキソヌクレアーゼの強い活性が見つかった。哺乳動物を含む高等動物に広く分布していて、ヒトでの第2番目のAPエンドヌクレアーゼである事が分った。この遺伝子のノックダウンを行なうとヒト細胞はMMSに感受性になり、この蛋白質が修復に働いている事が証明された。PALFの基質としてAPサイト以外のピリミジン塩基損傷の5'側にニックを入れ同時に3'->5'エキソヌクレアーゼを働かせてギャップを作り、PALFに結合するポリADPリボースポリメラーゼ(PARP1)を活性化して自身や周辺の蛋白質をポリADPリボシル化し種々の修復蛋白質をリクルートする事により損傷が修復される。この修復は、最も発生頻度の高い活性酸素による単鎖切断の修復に対する場合にもあてはまり、クラシックな塩基除去修復とは異なる修復経路である。PALFはさらに二重鎖切断のNHEJに関わるKUやXRCC4/LIGASE4とも結合し、切断端をその絵基礎ヌクレアーゼの活性できれいにすることが分った。今年度はさらに、もう一つのヒト由来のAPエンドヌクレアーゼの活性を持つ新規蛋白質を発見した。この蛋白質も3'->5'エキソヌクレアーゼ活性を持ちPARP1と結合する能力を持つ。これらの蛋白質の生物学的、医学的意義について現在研究を進めている。
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