研究課題/領域番号 |
16201014
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
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研究分担者 |
岩田 久人 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
梶原 夏子 国立環境研究所, 循環型社会, 廃棄物研究センター・NIESポスドクフェロー (80363266)
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キーワード | 臭素系難燃剤 / PBDEs / アジア・太平洋地域 / 広域汚染 / 環境動態 / 生物濃縮 / 野生生物 / 生態リスク |
研究概要 |
本研究の目的は、PBDEs(ポリ臭素化ジフェニールエーテル)による環境および野生生物の汚染実態と広がり、生物濃縮の特徴、リスク評価等について究明することにある。平成18年度は、主として生物による濃縮および蓄積特性の解明を試みた。 まず、陸性、沿岸性、外洋性の鳥類について分析を試みたところ、南半球の一部外洋性鳥類を除く全ての個体からPBDEsが検出され、その汚染は遠隔地にまで広がっていることが明らかとなった。陸性・沿岸性鳥類は外洋性鳥類より高濃度のPBDEsを蓄積しており、猛禽類のオオタカやオオワシから検出された値は、これまでの欧米の報告値と比較しても高いレベルであった。次に、琵琶湖のカワウとその餌生物/胃内容物を供試してPBDEs生物濃縮係数を求めたところ3〜18の値が得られ、この物質は生物濃縮されるもののPCBsやDDTsに比べると吸収されにくく代謝されやすいことが示唆された。また、海棲哺乳動物を供試してPBDEs汚染の雌雄差や母子間移行の実態を調査したところ、既存の残留性有機汚染物質と類似の移行がみられ、胎盤経由よりも授乳による母子間移行の方が大きいこと、したがって成熟個体の蓄積レベルに顕著な雌雄差を生じることが判明した。さらに、レポーター遺伝子アッセイを用いPBDEによるバイカルアザラシおよびマウスCAR転写活性化能を解析した。その結果,両種CAR共に生物・環境中から高頻度で検出されるいくつかの同族・異性体で弱い活性の抑制がみられた。
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