研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、臭素系難燃剤PBDEs(ポリ臭素化ジフェニールエーテル)による環境および野生生物の汚染実態と広がり、生物濃縮の特徴、リスク評価等について究明することにある。とくに、アジア・太平洋地域の沿岸生態系およびヒトのPBDEs汚染について、その時空間的なパターンの解明を試みた。また、本研究を実施するにあたり、愛媛大学の生物環境試料バンク(es-BANK)に冷凍保存してある多様な試料を活用した。PBDEsは分析に供した全ての試料から検出され、この物質による汚染がアジア・太平洋地域に拡大したことを初めて明らかにした。また、高濃度分布は韓国、中国、日本で認められ、先進工業国および経済成長の著しい途上国で汚染が顕在化していることを確認した。得られたデータを欧米の濃度レベルと比較したところ、アジア地域の汚染は北米地域に比べると低いものの、欧州諸国と同等の汚染水準にあることが判明した。es-BANKの試料を活用してわが国におけるPBDEs汚染の歴史トレンドを調べたところ、Deca体は1970年代以降現在に至るまで濃度上昇を示したのに対し、Penta体などの低臭素化物は1990年頃ピークがみられ以降低減傾向を示すなど、PBDE製剤の使用パターンを反映する結果が得られた。一方、中国など途上国のPBDEs汚染は過去20〜30年の間に急速に進行しており、今後の動向を注視することが必要と結論された。堆積物や生物試料の分析では他の臭素系難燃剤も検出され、その汚染実態の解明とリスク評価が今後の課題となった。es-BANKの試料を活用してわが国におけるPBDEs汚染の歴史トレンドを調べたところ、Deca体は1970年代以降現在に至るまで濃度上昇を示したのに対し、Penta体などの低臭素化物は1990年頃ピークがみられ以降低減傾向を示すなど、PBDE製剤の使用パターンを反映する結果が得られた。一方、中国など途上国のPBDEs汚染は過去20〜30年の間に急速に進行しており、今後の動向を注視することが必要と結論された。堆積物や生物試料の分析では他の臭素系難燃剤も検出され、その汚染実態の解明とリスク評価が今後の課題となった。
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