研究課題/領域番号 |
16201017
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
岡本 峰雄 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (70345403)
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研究分担者 |
野島 哲 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (30112288)
古澤 昌彦 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (60281002)
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キーワード | サンゴ礁 / 白化 / 有性生殖 / 再生 / 光合成活性 / 褐虫藻 |
研究概要 |
日本最大のサンゴ礁「石西礁湖」は、1998年以降頻発する水温上昇によってサンゴが白化被害を受け減少を続けている。この再生対策は急務である。本研究はセラミック製着床具でサンゴ幼生の着生数・生残数を高め、移植用サンゴ種苗を育成することを目的としている。本年度は次の4項目を実施した。 1.サンゴ着床具と運用法の開発 サンゴの一斉産卵前に着床具、着床板等を設置した。着床具は樹枝ケースに120個を収納し、それを単独および8基を架台に設置する方法で試験した。3ヵ月後に一部を回収し、幼生着生数計測を行った。また着床具や着床板に対する稚サンゴの着生位置と成長を計測し、新しい着床具開発のための基準値を得た。 2.幼生の生残過程の研究 2ヶ所に設置した永久コドラート9ヶ所(長さ50m、幅2m)の詳細な経年変化追跡を行った。今年は夏季の台風の直撃によって多くのサンゴの破損が確認された。陸上実験で、音響計測機器(多周波インバース法)によるサンゴ幼生の計測手法開発を行い、大型のバンドル(卵と精子の束)であれば検知できる見通しを得た。 3.白化が進行するなかでのサンゴ群集構造の変化に関する研究 全域に配置した26ヶ所の定点でモニタリング調査を行った。礁湖北側のアウターリーフの長さ10kmに及ぶ海域でサンゴが再生中であった。主要種のクシハダミドリイシの群集構造解析を進めた結果、1998年白化前より成熟に長い時間を要すること、再生中の群集は以後の白化では死滅被害を受けなかったと示唆された。 4.サンゴ群集の健康度評価 実海域の塊状サンゴを対象に、水温が低い秋季に光合成収率の計測(DIVING PAM)を行った。暗順応に近い状態で計測を試みた結果、従来得た値よりさらに高い値が得られ、指標化への目処が得られた。
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