研究概要 |
1.サンゴ着床具と運用法の開発 礁湖北側リーフで再生成熟したミドリイシの幼生着生のため、新型着床具(2006瀬戸型と備前06型藻類増殖具)を2007年のサンゴの一斉産卵直前に名蔵湾に設置した。3ケ月後の回収で着床具1個に平均2群体の着生を確認した。06年に北側リーフで着生後礁湖南部に移動した着床具は、13-14ケ月段階で07白化に晒された。周囲のサンゴは白化でほぼ全滅したが、着床具のミドリイシ属は白化しなかった。26定点調査で、礁湖内のサンゴはほぼ全滅したが、北側リーフの被害は軽微であった。北側リーフが高温耐性(褐虫藻のDNA解析ではまだ検証できていない)を有したミドリイシ群集で再生し、新たな幼生供給源となったことになる。ここで産まれた幼生を名蔵湾で着生させ、静穏清浄な礁湖内で育成し、南部海域の移植再生で礁湖のサンゴを再生する案を策定した。 2.幼生の生残過程とサンゴ群集構造の変化の研究 礁湖南部の9実験区(900平方メートル)でサンゴ群集構造の経年変化、また06年6月から1歳サンゴ約800群体の個体追跡を行った。サンゴ群集は07白化でほぼ全滅し、1歳サンゴは1年で85%が死亡し、07白化でほぼ全滅した。礁湖内の多くのパッチリーフでは98,01,03,07白化でサンゴが段階的に死滅し、ガレキ化し稚サンゴを傷つけている。また礁湖全域でアウターリーフ上面にはサンゴが見られず(基準海面付近)、今後の侵食でリーフの防波堤機能が損なわれると判断した。石西礁湖では礁湖内の流れの上流に位置する南側リーフのサンゴ再生が急務と考える。
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