研究概要 |
先進国において下・廃水処理プロセスの主流は,活性汚泥法である。しかし開発途上国においては、活性汚泥法は受けいれられていない。途上国が活性汚泥法を採用しない理由が歴然とある。活性汚泥法は途上国にとって,省エネ・低コスト型で維持管理の容易なシステムとは思っておらず,途上国は自国に適した下水処理システムを模索している。そこで、本研究グループは途上国に適した下水処理システムについて長年研究し、カーテン型DHS(Downflow hanging Sponge-curtain)リアクター(特開平10-263578)を開発した。DHSに対して先進国で要求されるような良好な処理水質は期待していなかったが,超低コスト型にも係わらず長期連続処理運転において,余剰汚泥発生ゼロであり,処理水質は活性汚泥法と同等以上であることが次第に明らかになってきた。すなわち,途上国仕様に開発してきたDHSリアクターであるが,先進国にも適用可能な,活性汚泥法に代わる21世紀型の素養を秘めたシステムとして期待できる。そこで本研究の目的は、上向流スラッジブランケット(UASB)反応器とカーテン型DHSリアクターを組み合わせ、途上国に適用可能な超低コスト型新規下水処理システムを先進国に逆技術移転し,活性汚泥法から脱却した21世紀の下・排水処理の技術体系を創成することにある。 本年度はインドで稼働しているパイロット・プラントによる長期連続処理調査を継続し、余剰汚泥発生がゼロであることを実証するとともに、水量・水質変動に対する処理性能の安定性を評価し、技術的フィージビリティが高いことを明らかにした。また、長岡市の下水処理場にミニチュアのプラントを設置し、室温での実下水連続処理実験を開始し,低温下でも良好な先進国仕様の水質が得られるような運転条件を検討した。
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