本研究では、酸化物表面に担持された金微粒子において、一酸化炭素の酸化過程を電子顕微鏡内でその場観察し、STMにより金微粒子の状態変化を観測することによって、触媒作用の研究を推進することを目的としている。 当該研究年度においては、電子顕微鏡内で作製された金微粒子のSTM解析をするために必要なSTM制御システムの整備を行なった。制御システムはRHK社が開発したもので、ウィンドウズXP対応のソフトを搭載した最新型とした。同時に、STMの本体部分に相当するSTM探針とその駆動機構の開発に着手した。これは、STM本体は、既に確立した手法となっているが、そのままでは電子顕微鏡内の特殊環境で安定に動作できないからである。STM探針は慣性駆動方式で試料にアプローチさせ、さらにチューブピエゾ駆動方式で、STM像とSTSを得るように設計した。設計では、それぞれの駆動に対して、数mm、数μmをカバー出来るような仕様とした。 本研究で解決すべき課題として、(1)触媒作用が、金微粒子表面にあるのか、あるいは金微粒子と酸化物界面に有るのか、(2)金微粒子のサイズが3nm以下で触媒作用が顕著となるが、臨界サイズの存在理由は何か、を掲げている。次年度以降、ガス導入システムを構築して、課題(1)に対してSTM/STS観測を、課題(2)に対してTEM(透過電子顕微鏡像)観察を行なって、一酸化炭素ガス導入前後の状態変化を明かにしていく。
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