金ナノ粒子が酸化物(ルチル、MgO)に坦持された系のCO酸化活性現象について、ガス雰囲気下で起こる触媒粒子や担体表面の変化を透過型電子顕微鏡により研究することを目的としている。具体的には、ルチルの単結晶基板にH_2ガスやO_2ガスを導入した時の担体表面の構造変化を観察し、また金ナノ粒子を付着させた後、基盤のガス処理に依存する金ナノ粒子のモフォロジーの違いを観察する。 本年度は、ガス導入システムを改造し、O_2やH_2の導入圧力を急速に変化させることが容易になり、触媒ナノ粒子や担体表面の様子を多く観察できるようになった。実験の結果、ガス導入によって担体表面や金ナノ粒子のモフォルジーに大きな変化があることがわかった。 ガス雰囲気中で高温の加熱すると、担体表面の構造や形態が異なっている。O_2を導入しながら約1400℃で加熱したルチル試料では(210)面や(100)面が拡大すること、H_2を導入しながら約1400℃で加熱したルチル試料では(110)面、(100)面、(210)面が拡大することが明らかになった。後者の方法で作製した試料をO_2雰囲気中で温度を下げて加熱をしたところ、平坦で清浄な(110)表面を高分解能で観察できた。 金を付着させた時には、直前に行った担体表面へ曝露したガスの種類に依存し、金ナノ粒子のモフォルジーが大きく異なることが明らかになった。O_2ガス曝露した試料では金ナノ粒子は粒状の構造をとるのに対し、H_2ガス曝露した試料では平板状の構造をとることが明らかになった。
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