研究課題/領域番号 |
16201023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川合 真紀 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70177640)
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研究分担者 |
高木 紀明 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50252416)
白木 将 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (80342799)
金 有洙 独立行政法人理化学研究所, 表面化学研究室, 研究員 (50373296)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / 非弾性トンネル分光 / 吸着 / アセチレン / 単結晶表面 / Pd / Au / Cu |
研究概要 |
Pd(111)表面におけるアセチレン分子の吸着を走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて調べた。アセチレン分子は、明るい突起と暗い窪みの組み合わせからなる構造としてSTM像で観察された。アセチレンは111面のfccおよびhcp3配位位置に吸着することがわかった。また、fccサイトがより安定であることがわかった。トンネルティップからの電流注入により、アセチレン分子は回転し、3つの等価な配向の間を運動することがわかった。 Cu(111)表面におけるジメチルジチオール(CH3S)2分子の吸着構造を、極低温STMを使って調べた。(CH3S)2分子は、楕円形の突起としてSTMでは観察され、6個の等価な配向を示す。(CH3S)2分子はS-S結合を表面平行並行方向にして橋架け位置に吸着し、3個の等価な吸着状態をとることがわかった。それぞれについて、鏡像異性体関係にある吸着状態が観察され、合計6種類の配向をとることが説明された。 Pd(110)表面におけるシス2ブテンの吸着および非被弾性トンネルスペクトル(IETS)を測定した。IETSスペクトルではCH伸縮振動だけが強く観察されるが、その他の振動モードは観察されなかった。一方、トンネル電子誘起の回転運動の励起断面積をサンプルバイアスの関数として測定したところ、分子の振動に相当するエネルギー位置で閾値が観測された。この結果から、IETSスペクトルで観測されない振動モードでもトンネル過程で励起されていることがわかった。 Au(778)面における遷移金属ナノ構造体の構造、電子状態、磁気特性をSTM、光電子分光、X線磁気2色性より明らかにした。Fe1次元ワイアでは、低温で強磁性を示すことがわかった。温度を上げると強磁性的なドメイン間の容易軸方向が揺らいで超常磁性的な振る舞いを示すことがわかった。
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