研究課題/領域番号 |
16201023
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ナノ構造科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川合 真紀 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70177640)
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研究分担者 |
高木 紀明 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50252416)
白木 將 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80342799)
金 有洙 独立行政法人理化学研究所, 川合表面化学研究室, 研究員 (50373296)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / トンネル分光 / 非弾性トンネル分光 / 単結晶表面 / 吸着 / 表面振動分光 / 超高真空 / 表面磁性 |
研究概要 |
本研究では、(1)STM探針から金属表面に吸着した個々の分子に注入された電子による分子の振動励起過程を調べ、非弾性トンネル分光(STM-IETS)の振動励起選択則を明らかにすること、(2)表面に構築した金属低次元マテリアルの物性を調べ、新奇な表面物質系を探索すること、を目的に研究を行った。 Pd(110)表面上のtrans-2-butene、cis-2-butene、1,3-butadieneについてSTM-IETS、HREELS、EXAFS、MOPACによる電子状態計算を組み合わせて調べた。CH伸縮振動が強く観測されるtrans-2-buteneでは、LUMOの波動関数にC-H部分からの寄与があるが、CH伸縮振動が観測されない1,3-butadieneでは、C-H部分からの寄与が無いことが分かった。これより、STM-IETSの選択則にはトンネルに関与する分子軌道の対称性が深くかかわっていることがわかった。 HREELSではCH伸縮振動以外にも複数の振動ピークが観測されるが、STM-IETSでは観測されない。この点を解明するために、振動モードの励起を引き金として分子運動(サイト間移動・単分子反応)が励起されることに注目し、注入電子エネルギーの関数として分子運動の励起確率(アクションスペクトル)を測定した。Pd(110)表面に吸着したcis-2-buteneのアクションスペクトルには、基板と分子間の伸縮振動、CH_3変角振動、C-C伸縮振動およびCH_3伸縮振動に対応するエネルギーで分子運動の励起確率が著しく増加し、これらの振動励起の結果、分子運動が励起されていることが明らかとなった。アクションスペクトルがトンネル電子による振動励起を測る新たな手法となることもわかった。 Au(788)ステップ表面上に構築した1次元遷移金属鎖の磁性を調べた。鉄の1次元鎖では温度により強磁性→超常磁性→常磁性と変化する様子を明らかにした。
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