研究概要 |
(1)CCVD (catalytic chemical vapor deposition)法によるカーボンナノチューブ(単層、2層、多層)の成長機構を解明するため、まず単層よりさらに困難な2層チューブの生成を検討した。すなわち選択的に2層CNTを高純度で生成する方法を開発し、先にNature誌に掲載された。この論文は2005年2月中に掲載されたNature誌の中で読者が注目した9番目の論文としてNatureネットにも報告され、トップ10の論文中材料科学では唯一の論文として大きな関心を集めた。さらに、このチューブの熱処理中に合体現象を解明しNanolettersに発表し、ナノテクに大きな貢献を果たすことができた。 (2)2層ナノチューブの効率的な生成にはサポート触媒が必要であり、それが2層チューブの生成機構に大きく関係している事が明らかになった。また内外のチューブには特異な組み合わせの存在が予測され今後そのcommensurabilityについて検証を進める。 (3)精製された2層ナノチューブを2000℃前後で熱処理する事により、2層チューブ同士の融合現象を確認する事に世界で初めて成功した。2層チューブの融合により、一本のチューブの中に2本の細いチューブが存在するハイブリッド構造を形成する。これにより、2層チューブの外層と内層、という区分以上の機能を有する、外層と内部のケーブル(芯線)のナノケーブルを構成している。 (3)半経験論的分子軌道計算等による成長機構と成長シミュレーション、基礎機械物性(多層CNT^*)シミュレーションを行い、フェロセン触媒の高温での振る舞いを第一原理分子動力学法を用いて計算している。現段階でフェロセンの触媒クラスター形成初期段階が再現できており、さらにcommensurabilityと成長機構の解明を発展させる基礎が確立できた。 (^*T.Natsuki, K.Tantrakarn and M.Endo ; Prediction of elastic properties for single-walled carbon nanotubes, Carbon 2004)
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