研究課題/領域番号 |
16201024
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
遠藤 守信 信州大学, 工学部, 教授 (10021015)
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研究分担者 |
林 卓也 信州大学, 工学部, 準教授 (80313831)
金 隆岩 信州大学, 工学部, 準教授 (70362100)
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キーワード | CCVD法 / 2層カーボンナノチューブ / フッ素化 |
研究概要 |
平成18年度に得られた主な成果を以下に示す。 1、カーボンナノチューブの炭素源となるメタンガスに鉄以外の第2触媒成分として硫黄を添加することでチューブ径や層数へ与える影響を検討した。合成温度が900℃前後では硫黄を添加しても合成されるDWNTsの直径などには大きな変化が現れなかった。一方、合成温度が800℃ではメタンのみではDWNTsが支配的に成長したが、硫黄添加した場合は多層カーボンナノチューブが支配的であった。この知見は硫黄の添加量を最適に調整することで、合成されるナノチューブの層数などを制御できる可能性があることを示し、今後更に検討する必要があることがわかった。 2、DWNTsの表面構造の制御をフッ素化処理することで試みた。フッ素化処理はフッ素ガスを用い、温度を室温から400℃の範囲で処理を行った。DWNTsは300℃以下のフッ素化処理温度においても内層はフッ素の影響を受けず、ラマン分光分析からは内層に起因するスペクトルを観測することができた。一方、400℃のフッ素化条件では内層に起因するラマンスペクトルが消失し、内層はフッ素の影響を受けていることが分かった。また加熱処理により脱フッ素化処理を行うことで、DWNTs外層がエッチングされることがわかり、エッチングの度合いはフッ素化処理条件により異なることが知られた。これは外層と反応したフッ素が炭化フッ素系ガスとして脱離するためであると考えられる。以上のようにDWNTsへのフッ素化処理、そして脱フッ素化処理による表面制御やバルク的な特性の制御のために、構造制御に非常に有用な手法であることが結論された。
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