研究分担者 |
牛尾 知雄 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50332961)
森本 健志 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (60403169)
王 道洪 岐阜大学, 工学部, 助教授 (20273120)
舟木 剛 京都大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20263220)
松田 崇弘 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (50314381)
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研究概要 |
本研究課題を実施した大阪大学グループでは,本研究課題申請にあたり,実用化に近い形にまで機能を高めてきた広帯域干渉計を,単に情報通信網の耐雷・防雷対策といった形で利用することを意図したわけではない。同じネットワークでも,電力伝送網は近年,落雷やそれが原因である大電流・高電圧サージに対し比較的「強く」なっていることを勘案し,電力伝送網と情報通信網の類似点・相違点の相互理解の上に立って,より先見的な形での,耐雷・防雷の提案を意図した筈であった。 そのため大阪大学のキャンパスを中心に,VHF広帯域干渉計網を構築・稼働し,雷嵐活動を「中規模気象システム」の活動・移動という形で捉える事を,本研究課題実施の第一歩とした。これまで開発を進めてきた広帯域干渉計に対し,ユーザフレンドリーで且つ高速処理を可能とするアプリケーションソフトウェアの開発と,精度向上のためのアルゴリズム更新を行った。また,広帯域干渉計と気象レーダのデータ同化による雷雲の抽出に関する検討と,複数地点の広帯域ディジタル干渉計観測データ統合による実時間雷活動監視およびインターネットを通じた実時間配信を実現している。すなわち,雷嵐活動が目に見える形で観測網を完成させ,雷雲の発達から衰退までの一連の雷活動について,準実時間での監視と観測データを配信する体制は整えることができた。一方で,これらの情報を電力系統や情報通信網の制御に利用することを意図していたが,実際研究を開始してみると,不要電磁波の干渉を解決する必要性が明らかとなり,雷嵐観測はともかく,電力網や通信網への適用は現実には手付かずで終わってしまった。さらに,雷嵐活動の監視に限っても,干渉計のみでは効果的とは言えず,高速スキャニングレーダの開発という新しい課題も生まれてきた。速い話研究も道半ばというのが正直なところなのである。幸いなことに本グループでは,新たなる4年間に対し,科学研究費補助金・基盤研究(A)「高時空間分解能型広帯域レーダシステムネットワーク」の採択が決まっている。大阪大学雷放電研究グループが開発を進めている,高速スキャニングレーダを含めてのネットワーク化を実現し,難課題に再度挑戦をする予定である。
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