研究分担者 |
白井 正明 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50359668)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70143550)
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10107451)
山野 誠 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60191368)
村山 雅史 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 助教授 (50261350)
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研究概要 |
1.「かいよう」KY05-14航海:自航式深海底サンプル採取システム(以下NSS)を用いたピストンコア採泥・地殻熱流量測定・ニスキン採水等を実施した.潮岬沖の基盤の高まりである樫野海丘では,これまで柱状採泥が試みられてきたが,地形が複雑なため試料採取には至っていない.今回,NSSを用いた海底観察および位置調整により,ピストンコア採泥に成功した.試料は,半遠洋性の泥質物質からなり薄い砂質層を複数含む.熱流量測定では,非常に高精度の地温勾配163mK/mという値を得た.この値は,周囲の四国海盆底の測定値と大きな違いはないが,プレート年代から推定される値より高い.熊野トラフの泥火山においては,詳細な地質観察と高密度の熱流量観測を行なった.長大な測線の海底観察を実施し頂上付近で最も大きな生物群集を確認した.熱流量観測では,頂部における地温勾配がトラフ底に比べて著しく低い値を示し,海水温度の大きな変動によるものと解釈された.すなわち,それを上回る流体湧出のないことが結論される.相模湾三崎沖では,ピストンコアラーによる長期観測孔の設置のテストを実施した.管の設置の後に試験観測として温度計ストリングの挿入に成功し,約1年間の観測を実施する. 2.「なつしま」NT05-19航海:相模湾三崎沖で地震動による噴出物質とされてきた構造の海底観察と岩石・堆積物の採取を行なった.熊野トラフにみられる泥火山の噴出様式との比較のために実施したが,礫の分布と周囲の地質構造の観察の結果,地下からの噴出によるものではなく,近傍の崖から崩落してきたものであることが判明した. 3.「淡青丸」KT05-19航海:断層運動の影響の少ない熊野海盆の堆積場を代表するリファレンス試料を採取した.既存の断層近傍およびイベント堆積物を含む試料との比較から地震トリガー起源の堆積層の解析を行なった.
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