研究分担者 |
白井 正明 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50359668)
蒲生 俊敏 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70143550)
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10107451)
山野 誠 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60191368)
村山 雅史 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 助教授 (50261350)
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研究概要 |
1.「よこすか」JYK06-03航海(4〜5月)の成果 熊野沖の巨大分岐断層の断層崖基部においてバライトのチムニーを発見した.海底面上でのバライトの存在は,断層に沿ったメタンフラックスが非常に大きいことを示す.また,崖錐の不安定な斜面にチムニーが存在することは,それが短時間に成長したことを示唆する.チムニーには年輪状の構造が見られ,年代の見積りを現在行なっている.また,チムニーは高いガンマ線計数率,特にウラン系列の放射性核種濃度の高い異常を示すことが明らかになった.断層に沿って湧出する流体に含まれるウラン系列の放射性核種の沈積の影響を受けていることが分かった.断層崖基部において,これまでに海底ガンマ線測定で得られている高いガンマ線計数率は,堆積物申に存在するバライトが原因であると推定される. 2.「白鳳丸」KH-06-3(9〜10月)の成果 深海重作業ロボットNSSを用いて東海沖の竜洋海底谷と熊野沖の泥火山において精密照準採泥を行い成功した.しかし,黒潮とNSSのウインチ系統の不調により,巨大分岐断層付近での採泥作業は実施できなかった.竜洋海底谷では,2地点においてピストンコア採泥,1地点においてマルチプルコア採泥を実施した.ピストンコアの柱状試料中には複数枚の砂質層を確認した.河川の供給源を持たない海底谷であるので,地震性のタービダイトであると解釈される.有孔虫の炭素同位体年代を用いた粗粒堆積層の供給年代間隔の推定を現在行なっている.熊野トラフ中央部に発達する泥火山では,裾野部分において精密照準によるピストンコア採泥を行い約3mの試料を採取した.試料には,火山灰層を含む半遠洋性泥層と泥火山から流下したと考えられる含礫泥層の互層が確認された.この構造は,泥火山の間欠的な噴出を示すものであり,火山灰の年代の同定と有孔虫の炭素同位体年代より活動履歴の復元を行なっている.
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