研究分担者 |
白井 正明 東京大学, 海洋研究所, 助教 (50359668)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70143550)
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10107451)
山野 誠 東京大学, 地震研究所, 准教授 (60191368)
村山 雅史 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 准教授 (50261350)
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研究概要 |
近年,高解像度の構造探査や地形調査によって活断層の詳細な分布を深海底でも明らかにできるようになってきた.一方,その物質科学的研究は,浅海域で進められているものの,深海では位置の精度が低いためほとんど行われていない.深海底の断層を対象とした試料採取の重要性から,東京大学海洋研究所は平成14年度にNSSを設計・製作した.本研究はNSSを用いて南海トラフ海域の断層近傍の試料を採取しその変位や活動を解明することを目的とした.また,断層が海底に達する点で湧水量観測を行ない今後の常時観測の基礎データを得ることを目的とした.以下に代表的な調査・研究結果を報告する. 1.竜洋海底谷:浅海からの堆積物供給源を持たない放棄された海底谷である.2点でピストンコア試料を採取し,多数のタービダイトを確認した.年代測定の結果,300〜600年の堆積間隔の情報を得た. 2.熊野トラフ泥火山:活断層に沿って地下からの噴出物で形成された泥火山が分布する.山頂から噴出流下した泥流の認められる斜面で採泥し含礫泥を3枚確認した.含礫泥の流下の間隔は1〜2万年であることが分かった. 3.巨大分岐断層:分岐断層の海底の出口付近には小平坦面が存在し,崖錐堆積物が分布する.崖直下の試料の採取に成功し,地震性イベント堆積層とみられる礫層が約千年間隔で堆積していることが明らかになった. この他,上記の分岐断層において,湧水量計を設置し断層に沿った流体の湧出変動を15ケ月間観測し湧水量の低下を明らかにした.また,航海中に発生した2004年紀伊半島南東沖地震の震源域付近の海中・海底映像,さらに表層試料を採取した.震源域付近は海底面上の厚さ約200mにわたって著しく懸濁しており,地震動によって震源域の斜面で地滑りが発生していることが分かった.
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