研究概要 |
天然神経毒の構造には、内因性リガンドの活性配座(水素供与基と水素受容基)に対応した極性官能基が適切な空間に配置されている。本研究では、天然興神経毒の全合成と、その極性官能基の空間配置に着目した構造単純化分子の合成を目標におき、次の研究成果を得たので報告する。 (1)トリデオキシテトロドキシン同族体の全合成の途上、チオウレア体からの新規グアニジド化法の開発に成功した。この方法を最終段階に取り込み環状グアニジドへ導き全合成を早期に完成させる予定である。 (2)AMPA/KA受容体のアンタゴニスト、カイトセファリンの全合成を達成した。鍵となる左側鎖の導入に際してアリル銅試薬を用いることにより天然型のアリル化体が得られるようになり、目的を達成できた。さらに、SAR研究のために7-及び7,9-エピ体も合成できた。 (3)すでに、かご状オルソ酸を短寿命中間体としてNMRにより観測できている。本年度、かご状オルソ酸をより安定に取り出すために、電子吸引性基をα-位にもつα-アシロキシオルソ酸の合成を試みた。α-ヒドロキシ体について合成が完成し、スペクトル解析による安定化効果を調べている。 (4)四角酸をカルボン酸等価体とした4角酸を含む各種アミノ酸を合成し、生理活性ペプチド内への導入を試みた。その結果、有効な方法を確立するとともに、類例のない各種四角酸含有Leu-Enkephalinが合成でき、それらの生理活性の評価とコンフォメーション解析を行った。
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