研究課題/領域番号 |
16202021
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 奈良女子大学 (2005-2007) 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所 (2004) |
研究代表者 |
北田 裕行 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, COE研究員 (90437509)
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研究分担者 |
高瀬 要一 独立行政法人国立文化財機構, 奈良文化財研究所・文化遺産部, 部長 (00090374)
内田 和伸 独立行政法人国立文化財機構, 奈良文化財研究所・文化遺産部・景観研究室, 室長 (30249974)
西村 さとみ 奈良女子大学, 文学部, 助教 (00263418)
多田 伊織 皇學館大学, 文学部, 非常勤講師 (30310783)
竹内 亮 奈良女子大学, 全学共通, 助教 (10403320)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | 燕下都園池遺跡 / 飛鳥期苑地 / 南朝 / 建康城 / 百済苑地 / 新羅苑地 / 平城宮の苑地 / 日本苑地関係史料 |
研究概要 |
本研究は、古代都城に付属する狩猟などを目的とする苑地、特にそれに内包される人工的に造られた景観の鑑賞を目的とする園池(庭園)について、東アジア史のなかで比較分析するものである。平成16(2004)年度は、漢代苑地である上林苑や、唐長安城の太液池などについて資料収集を行い、図上に復原するための基礎的作業を行った。平成17(2005)年度は、昆明池の現地調査を本格的に実施し、漢代の復元図作成を試みた。また、南朝の首都であった建康(現南京)で現地調査を行い、南京大学の張学鋒教授を招聘して研究会を行った。その結果、南京における苑地の基本的構造について新たな認識を得ることができ、飛鳥の苑地を考える上で重要な比較材料を得ることができた。国内では、院政期に成立した「浄土都市」宇治の実態を調査した。平成18(2006)年度は、中国東北部の集安および渤海の現地踏査を実施し、高句麗・渤海の園池遺跡の状況を確認し、上京龍泉府の園池が日本の寝殿造系庭園とよく似た形式をもち、中国の唐代に存在した寝殿造系庭園が伝わったものであり、神泉苑などで見られる日本の寝殿造系庭園も唐より伝来したとの結論を得た。漢代昆明池の調査では、園池を衛星画像上に復原する作業を継続し、正確な位置を把握し、既存の複数調査成果を比較検討することが可能になった。また、国際交流事業として研究協力者を韓国より招聘し、甫吉島芙蓉洞庭園を中心とした韓国における庭園発掘と整備についての研究成果を報告いただいた。平成19(2007)年度は、中国における園池の起源を探るために戦国時代の園池遺跡を調査し、宮城に園池を設けることが先秦時代に遡る可能性が高いことを明らかにした。一方、飛鳥期苑地について、飛鳥京の宮殿構造と南京の建康城の構造を比較した結果、飛鳥京の宮殿に建康城の影響が想定できた。また文献史料による島などの園池構造の比較・検討からも、飛鳥と中国南朝との関係が想定できた。すなわち、中国南朝の都城が朝鮮半島の百済に影響し、それらを通じてわが国の7世紀の都城苑地に影響したことが明らかとなった。また、飛鳥宮から平城宮に至る苑地に、南北朝期から隋唐にいたる変遷過程が反映していることを読みとることができた。
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