研究課題/領域番号 |
16203005
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
村岡 啓一 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (40345442)
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研究分担者 |
後藤 昭 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (00143256)
大出 良知 九州大学, 大学院法学研究院, 教授 (50115440)
高田 昭正 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (50116472)
川崎 英明 関西学院大学, 大学院司法研究科, 教授 (30127485)
白取 祐司 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (10171050)
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キーワード | 刑事弁護人 / 法曹倫理 / 弁護士職務基本規程 / 誠実義務 / 真実義務 / 秘密交通権 / 懲戒責任 / 2005年デクレ |
研究概要 |
【研究実績の概要】 1、平成18年度は、研究分担者による個別テーマの中間報告のほかに、以下の裁判例に現れた弁護人の具体的な倫理問題を取り上げて全国研究会で検討した。(1)最高裁平成17年11月29日決定(被告人の弁明と異なる弁論をした弁護人の誠実義務違反)(2)最高裁平成18年6月20日判決(死刑求刑事件の上告審公判期日を欠席した弁護人の懲戒責任の有無)(3)東京高裁平成18年3月27日決定(オウム麻原裁判の控訴趣意書不提出を理由とする控訴棄却決定と弁護人の依頼者に対する義務違反)(4)名古屋高裁平成18年10月4日判決(手抜き弁護による依頼者の有効な弁護を受ける権利の侵害)(5)鹿児島地裁平成19年2月23日判決(志布志事件における捜査官による被疑者と弁護人の秘密交通権の侵害)その検討結果の一部は、発表者個人の責任において季刊刑事弁護50号(現代人文社、2007年4月)に掲載して公表した。 2、フランス調査の結果、2005年デクレにより弁護士倫理が規則化されたこと、フランスでは弁護人の役割は依頼者の代理人というよりも真実発見の協力者ないし補助者としての性格が強く、捜査・予審の秘密を守ることが最も重視されていること、しかし、2007年の選挙後に刑事手続の大改革の可能性があり、弁護人の積極的な活動が求められる方向で意識変化の兆しがあること等が判明した。 3、マーシャ・アプホフ氏の講演により、アメリカの高校では、地域ぐるみの警察活動の一環として制服警官(名称は、スクール・リソース・オフィサー)が常駐する形態が一般化し、少年非行をめぐって学校カウンセラーも、生徒の長期的な利益を守ることと警察への報告義務との間で、弁護人と同様の倫理的ジレンマに立たされる実態が明らかにされた。
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