研究課題/領域番号 |
16203005
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
村岡 啓一 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40345442)
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研究分担者 |
川崎 英明 関西学院大学, 大学院・司法研究科, 教授 (30127485)
高田 昭正 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50116472)
白取 祐司 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10171050)
田淵 浩二 香川大学, 大学院・香川大学愛媛大学連合法務研究科, 教授 (20242753)
指宿 信 立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (70211753)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | 刑事弁護人 / 法曹倫理 / 弁護士倫理 / 検察官倫理 / 弁護士職務基本規程 / 懲戒請求 / 接見交通権 / 志布志事件 |
研究概要 |
本研究を通じて得た新たな知見は以下のとおりであり、研究成果は、随時、公刊物に掲載して公表した。 1 我が国では、一般的に、刑事弁護人の地位を裁判官及び検察官は一種の司法機関と見ているのに対し、刑事事件を担う弁護士は依頼者の代理人と見ている弁護人観の違いがある。この役割についての理解の違いから倫理問題へのアプローチに違いが生ずる。国内外において弁護人の公的機関性を強調する傾向が強いが、我が国の刑事司法の現状を前提にすれば、基本的には、依頼者の代理人性に重点を置いて両者のバランスを図るべきであろう。しかし、実態として、刑事弁護人の役割は単一ではなく場面に応じて多面的な役割を担うことから、倫理問題への対応も一義的に定まるのではなく、当該場面に即した役割に従って倫理問題の解消が図られるべきである。 2 接見交通をめぐる弁護人に対する懲戒請求事案の背景には、弁護人が一般私人に代わって外部交通を担わなければならないという我が国特有の事情があり、懲戒の成否は、弁護人の役割をどう理解するか、接見交通権の中に外部交通権をも取り込んで理解できるかに依存する。実際の懲戒審査では、当該弁護人の専門家としての総合的な判断が斟酌されており、結果としての注意義務違反から直ちに懲戒事由たる「非行」が帰結されるのではなく、さらに、懲戒に値するか否かの実質的価値判断がなされている。その意味では、行為規範と懲戒基準との間に乖離がみられる。 3 我が国には、検察官の行為を規律する倫理規範が欠如しているため、志布志事件の担当検察官の例にみられるように、真実を離れて有罪獲得のみを目的とする悪しき当事者主義がはびこる土壌がある。公訴官としての役割論に立った検察官の倫理規範が、早急に策定される必要がある。
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