研究課題/領域番号 |
16203017
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
辻 正次 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (90029918)
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研究分担者 |
山内 直人 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (90243146)
鈴木 亘 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80324854)
福重 元嗣 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10208936)
井伊 雅子 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (50272787)
岩本 康志 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40193776)
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キーワード | 工業特区 / 産業集積 / インフラ / 多項プロビット推計 / 順位プロビットモデル / 限界効果 / イノベーション / 人的資本 |
研究概要 |
今年度では、研究計画に従って、特区評価のための評価方法の研究と構造特区に関する基礎調査を行った。とくに、構造特区と産業集積の関連を研究するために、タイのバンコック周辺部の特区に立地する企業1,600社に対して、立地の要因に関するアンケート調査を行った。構造特区がもつインフラ、政府から与えられる租税免除・輸出に関する特典、特区あるいはその周辺企業との情報やノウハウの交流、熟練あるいは未熟練労働者といった人的資源、天候その他の生活環境、これらの要因がどのように企業の立地に影響を与えるかを分析した。非説明変数として、いつ企業がバンコック周辺に立地したのか、開設の時期をとり、これを3つの時期に分割した。また説明変数として、上述の(1)交通、道路、通信といったインフラ、(2)政府からの各種の税制・投資輸出に関する特典、(3)市場性、(4)人的資源、(5)親企業や関連企業等の関係、(6)生活環境、(7)資本金、従業員数等の企業属性をとった。推計の結果、当初に(1986年以前)バンコック周辺に立地した企業は、インフラ、投資等の租税上の特典、他企業との関連といった変数が有意であった。また、1987年から1994年の期間に立地した企業では、バンコック周辺の市場性、投資に対する租税上の優遇策、最新の情報を得やすい、これらの変数が有意となった。1995年以降に立地した企業では、熟練労働者、最新の情報・技術を得やすいといった点を評価して立地している。以上のように、企業に対して補助金や良質のインフラを与える特区の建設は、そこに対して企業の集積を促し、集積が生産目的から、技術やノウハウといった各種の最新の情報を得るというように高度化することが確認できた。今後は、特区の建設が産業の集積を促し、それが地域での自律的なイノベーションプロセスの確立にすすむことの理論化、およびその実証に向けて研究を進めたい。
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