研究課題
基盤研究(A)
本研究の成果は以下の通りである。1.新規加盟国の通貨危機の可能性については、マーストリヒト条約に定められた経済収斂条件によりファンダメンタルズの悪化が回避されていること、ERMIIの変動幅が弾力的であることなどから、92-93年のような通貨危機は回避できるであろう。2.EU拡大の結果、ユーロ域の国々から新規加盟国への直接投資が活発化し、産業立地の再編成が行われつつあるため、新規加盟国の成長率を高め実質的な経済収斂に貢献すると同時に、EU域内の景気循環をどう超過する効果を持っていることから、最適通貨圏の条件の内生化という理論上の主張を裏付けるものとなっている。3.国際通貨としてのユーロの役割りは徐々に拡大しており、ドルとユーロが競争するという2極通貨体制に移行しつつある一方、新規加盟国がユーロを導入するとユーロ域の拡大と国際通貨としてのユーロの機能は縮小するというパラドックスが存在する。4.2極通貨体制の今後、特にその安定性にとってきわめて重要な要因は、中国を初めとするアジア諸国の為替相場政策であり、公的な国際通貨をドルからユーロにシフトさせる課否かによって国際通貨体制は大きく変化する。5.これ以外にも、海外の研究協力者を招聘し、学会のパネルやEUIJ関西の国際シンポジウムなどを開催しディスカッションを行った。これらの研究成果は、海外研究協力者の成果も含め、今年度中にEurope at 28として英文にて刊行予定である。
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