研究課題/領域番号 |
16203030
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上野 千鶴子 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (90132307)
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研究分担者 |
盛山 和夫 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (50113577)
松本 三和夫 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (50157385)
吉野 耕作 上智大学, 総合人間科学部社会学科, 教授 (50192810)
武川 正吾 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (40197281)
佐藤 健二 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (50162425)
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キーワード | 社会学 / ジェンダー / 福祉 / 環境 / 公共性 / 少子高齢化 / 不平等 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に実施した二つの調査の分析を継続して進めるとともに、外部、それも社会学以外の専門分野の研究者を招いて研究会を開くなどにより、公共性について多角的な検討を進めた。 まず、2005年に実施した「福祉と公平感に関するアンケート調査」の分析に関しては、本調査と共通する調査項目が含まれる「福祉と生活に関する意識調査」(2000年、福祉社会のあり方に関する研究会)との比較を行った結果、子育て支援、失業対策、学費援助に対する政府役割を期待する割合の上昇が確認された。2000年から2005年にかけて格差議論が活発化し、人々の不平等感も上昇した社会的背景とも連動して、子育て、雇用、教育、を社会的に支援し、環境整備することへのニーズの高さが確認された。 ジェンダーとケアに関する地域福祉の事例調査においては、分析を進める中で、ケアという社会的課題を公平性と共同性の観点から体系的に組み立て直す必要性がますます明らかとなり、その方向にむけての理論的作業に着手した。 さらに、環境と科学技術の問題に関しては、不確実性下における社会的意志決定の公共性をいかにして担保するかという問題への探求を進め、少子高齢化と不平等の問題に関しては、年齢別、世帯類型別等における不平等格差の詳細な分析を通じて、分配の公共性問題への探求を深めていった。 理論的・学説史的な観点からは、日本の地域社会学の展開過程における社会調査の実践性を分析して、その公共性のあり方を検討するとともに、理論社会学一般における経験主義と規範性との関係を学説史的に考察して、社会学として公共性をどう位置づけるべきかを検討した。 以上の研究作業は、各種研究会のほか、ソウル大との国際研究集会など国内外の場での発表と研究交流を通じて進められ、研究成果はさまざまな媒体において発表された。
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