研究課題
基盤研究(A)
機能的磁気共鳴脳画像法(fMRI)と経頭蓋磁気刺激法(TMS)を用いてヒトの脳のワーキングメモリの機能を前頭前野を中心に検討した。ワーキングメモリの個人差をリーディングスパンテストによって若年者(大学生、院生)と高齢者(65歳以上)について測定し、その評価値によってハイパーフォーマーとローパーフォーマーに分け検討した。行動実験とfMRIやTMSを用いた実験の結果(構造化方程式モデリングや信号変化率の解析)、中央実行系はワーキングメモリのコントロールに注意の制御系として重要な役割をもっていることが判明した。とくに、背外側前頭前野、腹外側前頭前野、内側前頭前野や頭頂小葉などが、相互に複雑に機能分担を行いながら複雑なワーキングメモリ課題を処理していることが分かった。これらの脳内領域の統合的実体がいわゆる中央実行系の姿であると推定され、中央実行系複合体と呼べることが明らかになった。これらの諸領域が協調して作動することで効率の高い適応的な高次認知や行動の制御が可能になることが推定された。これらの諸領域は知性脳とよばれる領域に属しているが、一方知性脳と情動脳を結ぶ内側前頭前野の前部帯状回も、競合する空間性や言語性のワーキングメモリ情報のコンフリクトの解消や情報の選択に大きな影響を持っていることも判明した。リーディングスパンテストを用いて、ハイパーフォーマーとローパーフォーマーに分けて前部帯状回と背側前頭前野の間の機能的結合性を検討した結果、前者で結合指数が高いことが分かった。ハイパーフォーマーは中央実行系を効率的に使っていることが明らかとなる一方、ローパーフォーマーは不要な情報の抑制などができないため実行系の機能が十全でないことが分かった。これは、高齢者の場合にも頭頂小葉系の実行機能の不全や左右半球の機能補償の非対称性を通して現れることも分かった。
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