研究概要 |
本年度は「海馬認知機能の比較心理学的研究」最終年度にあたるため、主としてこれまでの成果の取りまとめを行った。そのため、2004年9月19,20の二日にわたって慶應義塾大学でComparative study of hippocampal functionsという国際シンポジウムを行った。シンポジウムには当該研究の研究分担者以外の講演を含めて20件の講演と討論が行われ、国外からはBingman, V., Bischof, H-J., Borlongan C.V., Bartley, J., Carroll, J.E.Lever, C., Burgess, N., Jacob, Lが参加した。この成果は他のinvited authorsの原稿を含めてReview of Neuroscienceの特集号として編纂作業が進んでおり、2005年中に出版される予定である。 また、本年度は「海馬における時間・空間情報統合の比較心理学的研究」の初年度にも当たるため、動物実験では人工太陽が移動する飼育装置の開発を行った。これは照度と位置が12時間にわたって変化する光源を設置した飼育装置で、その中のハトが時間(体内時計)と人工太陽の位置をどのように統合するかを解析するものである。ヒトの実験では時間・空間を統合する認知心理学的課題の開発を行った。また、継続している国外との共同研究ではビーレフェルト大学のh-J.Bischofとともにキンカチョウを用いた初期遺伝子(c-fos)の研究に着手した。課題としてはこれまでの共同実験で脳損傷のデータがち奇跡されている乾燥型モリス迷路に類似した課題を使った。その結果、空間学習と海馬における初期遺伝子発現との関係を示すデータを得た。
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