研究分担者 |
翁 林 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (60304002)
小野 薫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20204232)
金銅 誠之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (50186847)
松本 圭司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30229546)
山下 博 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30192793)
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研究概要 |
(1)中村 郁は菅原健との共著の論文(現在査読中)の中で,アーベル多様体のモジュライのコンパクト化に関連して,安定擬アーベル多様体の高次コホモジー群は消滅することを証明し,大域切断の空間はハイゼンベルグ群の既約表現空間となることが証明した.これにより,モジュライ理論の記述は単純化された.また,特異な例E8について詳細な研究をおこなった. (2)Weng, Linは半安定ベクトル束のモジュライ空間を用いて,関数体に対する非可換ゼータ関数および非可換L関数を導入し,関数等式などの基本的な性質を調べた. (3)金銅誠之は3次曲面のモジュライ空間を複素超球の算術商として記述した。方法は3次曲面に対し、自然に$K3$曲面とその位数3の自己同型の組を対応させ、K3曲面の周期理論を適応することである。 (4)松本圭司は射影直線の8点で分岐する巡回4重被覆で得られる代数曲線族のモジュライ空間は、6次ジーゲル上半空間に埋め込まれた5次元複素超球に実現することができる。その逆対応を与える5次元複素超球上の105個の保型形式をテータ関数を用いて具体的に表示した。 (5)小野 薫は複素曲面の単純特異点のリンクのシンプレクティック充填の決定を行った。単純特異点のリンクのシンプレクティック充填の一意性を基に、(2,3) cuspをもつ擬正則有理曲線を含む4次元のシンプレクティック多様体について調べた。 (6)山下博は半単純リー群の既約許容表現に対するハリシュ-チャンドラ加群が既約な随伴多様体をもつとき,その等方表現の双対加群を勾配型不変微分作用素を用いて記述した.特に,離散系列表現の場合に,対称対に付随したリチャードソン軌道を調べることで,等方表現の構造の主要部分を明らかにした.
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