研究分担者 |
神保 道夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80109082)
白石 潤一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20272536)
WILLOX Ralph 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20361610)
西成 活裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40272083)
薩摩 順吉 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70093242)
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研究概要 |
変数が離散的な方程式,量子力学的な格子模型,とりうる値まで離散的な力学系であるセルオートマトン(超離散系)のうちで,「可積分系」と呼ばれ,厳密解や統計的性質を解析的に表現できるものがある.本研究はこうした離散可積分系の,数理構造を研究し,特に「箱玉系」と呼ばれる超離散系の数理構造を明確にした.箱玉系は箱から箱へ玉を移動させる一種のゲームとして実現される力学系であるが,(i)ソリトン解をもつ,(ii)十分にたくさんの保存量をもつ,(iii)初期値問題が解ける,など,ソリトン方程式に良く似た性質を持っている.また,(iv)ソリトンの散乱がYang-Baxter関係式を満たす,(v)状態空間をある量子代数のq→0での表現(crystal)とみなすことができ,時間発展規則を表現のinter twinerで記述できる,など,組み合せ論的な性質も持つ.この系に対して,特に初期値問題を初等的な組合せ論的手法,超楕円函数に付随するヤコビ多様体上の線形流への変換,KKR全単射による解法,KdV方程式の超離散化を用いる手法など様々な手法で解くことによって,他の数学的な対象(組合せ論的対象,ワイル群,表現論など)との関係が明らかになった.たとえば,一般化された箱玉系の保存量は経路による表現を持つが,経路を決定する作用は一般化されたワイル群の作用と考えることもできる.また,可解格子模型との関係では,転送行列の固有値が箱玉系の基本周期を与えることや,ベーテ仮設方程式のストリング仮説が,箱玉系の保存量によって特徴づけられることを示した.このほかにも,量子系の相関関数や,超離散系の基本的な問題,それらの交通流などへの応用にも大きな進展があった.
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