研究課題/領域番号 |
16204019
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
粕谷 厚生 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (10005986)
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研究分担者 |
伊藤 隆 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 助教授 (40302187)
田路 和幸 東北大学, 大学院環境科学研究科, 教授 (10175474)
須藤 彰三 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (40171277)
樋口 秀男 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (90165093)
川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30091672)
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キーワード | 微小粒子 / 半導体粒子 / 硫化物半導体 / 光触媒 / 光電気化学反応 / 粒径制御 / 化学変換 / 硫化水素分解 |
研究概要 |
原子が十数個から数千個結合して出来た微小粒子は、構成原子数に著しく依存する特異な電子状態と化学活性表面を持ち合わせた高機能性物質である。本研究のこの粒子の原子数を揃えて2次元或いは3次元に配列させた集積回路網を組み上げ、入射する電子、原子、分子、イオンが粒子表面或いは内部での反応を介して検知、伝達、分解、組み替え、蓄積される高速且つ高効率な化学変換デバイスを構築することである。 初年度は半導体としては可視領域に強い吸収をもつ金属硫化物、酸化物を選び、硫黄と硫化水素の反応サイクルで水を分解して水素を得る高効率な光触媒の創製を試みた。これらを溶液中で作製し、界面活性剤などによって分散させて濾過、光エッチング、を用いて粒径を3〜10nmに揃えた。これらの方法により、ZnS、CdS、CdSe、TiO_2、In_2S_3、Fe_2O_3を作製した。 次年度では得られた試料について電子状態と励起緩和過程、表面構造と反応活性等を、各種光学測定、複合電気化学微小分光測定による原子レベルでの測定を行った。 又CdSeについては更に小さな試料を作製したところ、粒径が1.5nmのところで粒径の極めて揃った試料の出来ることがわかった。この試料を質量分析したところ、(CdSe)_<34>であることがわかった。これ程までに小さくなると粒子の安定性が構成原子数に著しく依存するようになり、特定の原子数でのみ安定に生成するようになると解釈された。特に化学量論比が1:1に定まっていることは、正のCd^<2+>イオンと負のSe^<2->イオンによる電荷の釣り合いが安定度に重要な役割を果たしていることが推測される。CdSeはII-VI族半導体に属し、CやSiのIV族元素に見られる共有結合に加えてイオン結合性が加わっていることと深く関わり、極微小な粒子の安定性について従来の考え方とは全く異なる新しい知見を得た。
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