研究課題/領域番号 |
16204021
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野寺 秀也 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (50005972)
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研究分担者 |
倉本 義夫 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (70111250)
高木 滋 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20154750)
松岡 英一 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (20400228)
木村 憲彰 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (30292311)
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キーワード | 軌道秩序 / 反強四極子秩序 / 反強磁性秩序 / 反強八極子秩序 / 磁気構造 / 磁気相転移 / 磁気相図 / ヴァン・ブレック転移 |
研究概要 |
本研究は、多極子間相互作用をtuningしてそれぞれの役割を明らかにすること、RB_2C_2系の異常に高い四極子転移温度と反強磁性相の異常な磁気構造の由来の解明を目的とし、本年度は下記の成果を得た。 1.磁場誘起反強四極子秩序を示す反強磁性体TbB_2C_2はY希釈によって、4f電子の基底状態と40K上の第1励起状態がともに一重項であること、そのため磁気双極子、電気四極子、磁気八極子の自由度に由来するその特異な物性は150K付近の励起状態も関与したvan Vleck型転移として発現することを見出し、それによって得られた磁気相図のY濃度依存性もそのような描像で理解できた。 2.Gd希釈によって、さまざまな磁性異常を示す磁場誘起反強四極子秩序物質であるTbB_2C_2の基底状態は単純な反強磁性体ではなく、反強磁性と反強八極子秩序が共存している特異な相であることを見出し、反強八極子秩序と反強四極子相互作用が強く競合することが物性異常の原因として理解できるという結論を得た。Gd希釈は急速に反強八極子相互作用を弱め、7%Gdで反強八極子秩序は消失する。 3.4f電子がΓ_3基底状態を持つPrMg_3とPrAg_2Inの非磁性イオン核の核磁気共鳴によって、明瞭な八極子揺らぎの観測に成功した。また、四極子と八極子の自由度のみをもつ非クラマースΓ_3基底の縮退が四極子近藤効果とは全く異なる過程でその自由度を失うことを見出した。 4.多極子秩序物質DyB_2C_2やTbB_2C_2と同型のErB_2C_2は正方晶c軸方向に磁気モーメントが固定された強いIsing性を持つ反強磁性体であるが、その磁化過程では反強磁性配列から強磁性配列に向けて磁化が連続的に変化するうえ、極めて大きなヒステリシスを示すこと見出した。これは、多極子相互作用が強い正方晶RB_2C_2は、磁気相互作用そのものもそのフェルミ面形状によって極めて特異となっていることによると理解された。
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